ビジネスチャンスや社会課題に利活用できる人流データ分析。国土交通省も注目し、普及させるための環境整備を進めています。
課題は、活用場面が広すぎて具体的にどう依頼していいかわからないこと。
人流データ分析のサービスを依頼するには、データ処理のプロセスを理解して、どのステップが現状にマッチするか把握することが重要。このサイトでは、人流データ分析を効果的に利用できるようにプロセスを解説し、おすすめのサービスを紹介しています。
データ分析のプロセスとは収集・可視化・分析の3段階があります。各段階によってデータの状態が異なり、どの状態のデータが欲しいのか見極める必要があります。以下に各プロセスとデータの状態を解説し、対応できるおすすめのサービスも紹介しています。
主に携帯電話を通じて集められた人々の動向「人流データ」を活用し、結果に満足できるサービスを選びましょう。
このデータは、人の流れや動向・性質を数量的に把握して、推計や分析は自社で行うことが可能。地域間のばらつきがない基地局ベースの測位で、母数の大きなデータを取得できるサービスがおすすめ。
データをわかりやすく可視化すると、会議など意思決定の場で使うことが可能。人流動向の現状把握をするためには属性データもある、細かい範囲で測位できるGPSデータを取得できるサービスがおすすめ。
分析されたデータは、早期課題解決のためのアクションがすぐに起こせます。一般的な可視化・分析よりも、より課題解決へ導けるデータを求めるなら、分解能が高くデータのゆがみを解消しているサービスがおすすめ。
※選定条件
2022年9月5日調査時点において、「人流データ分析」でGoogle検索した全27社において公式サイトで明記されている内容から以下の条件でピックアップしました。
■収集…基地局ベースデータによる、地域間差がなく、契約台数が一番多い(2022年9月調査時点)会社である株式会社ドコモ・インサイトマーケティングが提供する「モバイル空間統計」※参照元:株式会社ドコモ・インサイトマーケティング公式HP:(https://www.tca.or.jp/database/)
■可視化…空間分解能の範囲が狭いGPSベースと、通信キャリアならではの契約情報による属性が入手できる一社KDDIが提供する「KDDI Location Analyzer」
■分析…空間分解能の範囲が狭いGPSベースで、データのゆがみをとるマップマッチング処理を行っているため仮説検証分析まで行えることを公式サイトで記載している一社LocationMindが提供する「xPop」
収集・可視化・分析それぞれのステップでおすすめの会社を詳しく紹介。サービス内容とその特徴、事例などをまとめています。運営会社の基本情報も掲載していますので、詳しく確認できます。
モバイル空間統計は、株式会社ドコモ・インサイトマーケティングが提供する人流データ分析サービスです。契約台数8500万の大手通信キャリアならではの基地局ベースの携帯電話ネットワークの仕組みを活用。人口密度や移動距離、居住地・国など、幅広く母数の大きなデータを提供しています。
モバイル空間統計では、性別や年代居住エリアなど、契約者情報からさまざまな人流データを提供しています。
これらのデータは、分布や移動と組み合わせ、幅広い切り口で時間帯ごとに提供可能です。
モバイル空間統計で提供されている人流データは、24時間365日いつでも把握できるのが特徴。
測位情報は1時間ごとに更新されています。そのため、リアルなデータが必要な分野・領域におすすめです。
モバイル空間統計の各種データは、マーケティングから防災計画の立案まで、広く活用されています。
さまざまな分野・領域の課題解決に利用できるでしょう。
埼玉県では、帰宅困難者対策にモバイル空間統計を利用しています。同県では、災害時の帰宅困難者を推計するために必要なデータの不足が課題となっていました。そこでモバイル空間統計を導入し、エリアごとの人口を居住地別に分析。
日中の滞在エリアも活用して2点間の距離を把握し、帰宅困難者数の予測に役立てています。また、エリア・時間帯別に帰宅困難者を分析し、データを備蓄品の配備計画に活かしています。
九州旅客鉄道は、需要予測による収益の最大化を実現するために、モバイル空間統計を導入しています。鉄道の割引切符は、季節やイベントの有無でニーズが変動します。同社では、そうしたニーズを予測するためにイベントエリアの年齢や性別、居住地などの人口構成を分析。
過去のイベント参加者のデータと割引きっぷの販売データも組み合わせ、イベントごとに割引切符の需要を予測する仕組みを構築しました。これにより価格と供給量のコントロールが可能になり、収益性の向上を実現しています。
災害時の被害想定をする際に、に中の買い物客や観光客などの一時的な人の動きを 考慮せねばならず、既存の統計データでは正確な推計が困難でした。
モバイル空間統計を用いて、時間帯別の人口変動を分析を行い、 エリアごとに台風、地震、津波などの自然災害が発生した場合の被害想定を推測できるようになりました。
モバイル空間統計を運営する株式会社ドコモ・インサイトマーケティングは、日本の大手通信事業者の一つです。NTTの完全子会社で、さまざまなソリューションを提供しています。有名なものは携帯電話事業ですが、他にも光ファイバーサービスや固定電話サービスなど、各種通信事業を広く手がけています。一方、新電力サービスの「ドコモでんき」を立ち上げるなど、異業種にも積極的に参入しています。
会社名 | 株式会社ドコモ・インサイトマーケティング |
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本社所在地 | 東京都千代田区永田町2-11-1 山王パークタワー |
事業内容 | 通信事業、スマートライフ事業など |
公式HP | https://mobaku.jp/ |
KDDI Location Analyzerは、auスマートフォンの位置情報データに契約者情報を紐づけたデータとGPSの位置情報に基づいた人流データ分析ツールです。性別や年齢、居住地など、さまざまなデータを利用し、可視化することができます。
KDDI Location Analyzerは、2週間の無料トライアルを提供しています。アカウント開設後にすぐ利用できるため、まずは試してみてはいかがでしょうか。
トライアルでは、全ての機能を試すことが可能です。
KDDI Location Analyzerが提供するデータは随時更新され、直近数日分までのデータを提供しています。
人の動きも日時単位で分析可能で、町丁目やメッシュで細かくチェックできます。
通行人口分析や時系列来訪者比較分析など、さまざまな機能を搭載しているのも特徴。
有料ですが、Excel形式でのレポート出力にも対応しており、印刷して資料に使用したり、他のツールでさらに分析したりできます。
公式サイトで
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特徴をもっとみる
ショッピングセンターの企画や運営を手がけるセブン&アイ・クリエイトリンクでは、施設の調査マーケティングにKDDI Location Analyzerを利用しています。主に来訪者の属性や居住地分析に利用しており、以前の調査手法と比べてコストが下がりスピード効率はアップしたとのこと。小売店舗の開発や運営、AIを利用した売上モデルや出店判断などへの活用も検討中としています。
プロ野球チームの横浜DeNAベイスターズでは、横浜スタジアムの来場者の属性や、ボリュームの把握にKDDI Location Analyzerを利用しています。これまで他の試合との比較がスムーズにできないなど、複数の課題を抱えていた同社。KDDI Location Analyzerを導入することで、全試合の来場者データの取得が可能になり、調査精度とパフォーマンスの向上を実現しました。
市民生活の質の向上を目指したデータの利活用の取り組みとして、 エクスポリス社と共同開発したプラットフォーム「データプラットフォームくれ」が公開されました。
市内の滞在人口や通行人口が時間帯別にどのように変化しているかの分析に、 KDDI Location Analyzerを活用しました。データからの地域課題の解決の促進が期待されます。
公式サイトで
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KDDIは株式会社ドコモやソフトバンクと並ぶ大手通信事業者の一つで、auブランドで知られています。2000年に当時のDDIとKDD、IDOの3社が合併して設立されました。携帯電話サービスやインターネットサービスを幅広く展開し、多数のグループ会社や子会社を擁しています。KDDIでは、KDDI Location Analyzerを通してデータ関連事業も手がけています。各種専門チームも配置しており、きめ細やかなニーズに対応できる体制を整えています。
会社名 | KDDI株式会社 |
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本社所在地 | 東京都千代田区飯田橋3-10-10 ガーデンエアタワー |
事業内容 | 電気通信事業 |
公式HP | https://k-locationanalyzer.com/ |
LocationMindが提供するxPopは、1日当たり、数百万の位置情報データを分析できるクラウドサービスです。特徴はGPSデータの誤差や欠損部分を補正するマップマッチング処理を毎日行うことで、予測集計まで可能になります。
xPopでは、交通モード推定(移動手段が何か)、居住地や勤務地まで推定できるように、マップマッチング処理を毎日行っています。
このため課題にマッチした詳細な分析が可能です。
xPopは、WindowsなどのPCから利用できるブラウザベースのサービスです。
人流データは24時間いつでもダウンロード可能で、さらなる分析に役立てられます。
人流データは、1日ごとにレポート形式で見ることが可能。PDFや画像で閲覧することができます。
また、ダッシュボードはグラフが多用されており、各種データをスピーディーに確認可能です。
静岡県の中部に位置する藤枝市では、観光地に隣接した過疎地域を可視化するためにxPopを活用しています。同市の藤枝地区は過疎高齢化が進む一方、隣接する観光地は毎年多くの観光客が訪れています。こうした格差を是正するため、IoTセンサーを用いて観光地や周辺エリアの人流を測定。そこで得られたデータを元に、回遊性の改善や過疎化対策に取り組んでいます。
交通広告を中心に手がける大手広告代理店のエヌケービーでは、交通広告のメディアプランニングにxPopを使用しています。同社では、鉄道駅のリアルな利用者数・乗降客数を把握するため、GPSのデータに交通モード推定などを実施。また、データを統計処理して駅の乗降客数・乗り換え客数を推定するダッシュボードを導入しています。これらを活用し、クライアントへデータに基づいたメディアの提案や、施行後の検証レポートを行っています。
東京都はxPopによるリアルタイム人流予測データを用いて、混雑回避を目的とした実証実験を行いました。
実験には災害時に歩行者の混雑状況を即時に可視化させ、安全な移動を提案するWebアプリを用いています。
テストの結果、Webアプリの利用者の約7割が実際に表示された検索ルートを通行し、 そのうち約9割が混雑回避を実感する等、リアルタイムなデータを用いた避難ルートの提供の有効性が示されました。
LocationMindは、東京大学柴崎亮介研究室発のベンチャー企業。主に位置情報に基づいたソリューションやプロダクトを提供しています。人流データ部門においては、各種ビッグデータの処理はもちろん、分析やAIを用いた人流予測なども手がけているのが特徴。コンサルタントとしてキャリアを積んだ担当者がビジネス内容に沿った分析を提案しながら提供してくれます。xPopのほか、人流データを動画のように時系列で確認できるツール「Mobmap」の開発・提供も行っています。
会社名 | LocationMind株式会社 |
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本社所在地 | 東京都千代田区神田司町2-8-1 PMO神田司町4F |
事業内容 | 位置情報・人流データに関するソリューション・プロダクトの提供 |
公式HP | https://locationmind.com/ |
今回の調査では、「商圏分析」、「インフラ政策への活用」、「根拠を持った集客施策」を4割の回答者が人流データで活用したいこととして回答をしています。
みなさんも、人流データをビジネスで利用する場合は、その目的をはっきりとさせてから検討をしましょう。
今回の調査では、導入サービスを検討する上で重視したいポイントについて、「データの精度」と「収集できるデータの種類」回答を合わせると半分を超える結果となりました。
サービスによって、データの取得方法や分析できる領域が変わってくるので、事前に確認をしておくことをおすすめします。
今回の調査では、約半数近くの人が「人流データ」を活用してマーケティング分析を行ったと回答をする結果となりました。
半数以上の回答者が人流データの活用で「データをアクションに移せない」ことが大変であったと回答をしています。
人流データ分析もサービスによって得意としている領域が異なります。
ここでは、それぞれの得意領域ごとにおすすめの人流データ分析サービスを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
人流データは、さまざまな企業や団体が活用しています。もしビジネスでの活用方法でお悩みなら、他社の事例を参考にして、ヒントを得てみてはいかがでしょうか。
ここでは人流データを活用して防災実験を行った横須賀市の事例と街づくりに活かした三宮市の事例を紹介します。下記のページでも、分野別に人流データの活用事例を紹介しています。ぜひ活用の参考にして頂ければと思います。
横須賀市久里浜地区では、準天頂衛星データを用いたPUSH型の避難通知によって、避難者は効果的な避難を行うことができるのかという実験を行いました。
地域住民約100名を集めて、半数に対してPUSH型の避難情報を提供したこの実験では、全体的な傾向として避難誘導ありのグループの方が、推奨されるルートをより選択しやすくなり迅速な避難が可能となったことが明らかになりました。
通知を音声やLEDで行う場合、場合によって知覚しずらいこともあり、避難の参考にされないという傾向も見られたということであり、音声などで誘導をする場合はより多くの人がアクセスできるような調整が必要となるでしょう。
三宮では赤外線センシングデータを用いて、人の動きをリアルタイムで把握ができる取り組みを実施いたしました。(2018年12月~2019年3月)
計測データを神戸大学と連携をして、天候、曜日、時間帯、イベント情報等に分けて分析。その分析結果に基づき、神戸市や地域の団体が実施するイベントなどに反映をし、評価を繰り返し、にぎわいと回遊性のある街づくりの実現を目指しているということです。
人の動きや属性など、幅広い場面で人流データ分析を活かせる分野です。例えば地域の活性化や、観光スポットの来訪者数確認などに活用されています。また、観光地の周遊性向上に役立てているケースもあります。
小売や外食分野でも活用が進む人流データ。出店戦略や広告戦略に活用しているケースが見られます。このほか、来店客数アップやリピーターの獲得にも人流データが活かされています。
インフラ分野においては主に自治体が中心となった人流データの活用が進んでいます。人流データでスマートシティを推進したり、行政課題の解決に取り組んだりしているケースがあります。
マーケティングや広告分野において、重要な役割を担っている人流データ。各種プロモーションや広告の効果測定に使われているほか、データを見える化し、幅広く活かそうとしているケースも見られます。
公共分野でも人流データを使った取り組みが盛んです。活用方法はさまざまですが、高齢者の交通事故抑止対策に活かしたり、混雑状況の可視化に活用したりしている組織や自治体があります。
多くの課題を抱える物流分野では、幅広い領域で人流データが活用されています。主なユースケースはサプライチェーンの最適化や物流ソリューションの展開ですが、ラストワンマイルの業務効率化を実現した企業もあります。
海外事業で人流データが用いられています。空港の改修・拡張事業における評価に人流データを用いたケースや、訪日外国人の人流動向に活用したケースもあるなど、人流データの汎用性が伺えます。
交通分野でも重用されている人流データ。観光開発やプロモーションに活かしている鉄道会社もあれば、顧客のメディア選択に活用している企業などもあります。
人流データは、不動産分野でも広く用いられています。例えば、商圏エリアの分析に活用する企業もあれば、建設予定地のマーケティングに活かすケースも。一方、施設の混雑緩和に人流データを応用している企業もあります。
金融分野でも人流データを使用した各種取り組みが行われています。ある銀行では、店舗の混雑状況の見える化に人流データを使っています。また、新規出店やマーケティングなど、幅広く活かしている企業もあります。
人流データ分析サービスを行っている会社はそれぞれ特徴が異なります。本サイトで紹介している会社を一覧で紹介します。
GIS(地理情報システム)を活かしたソフト「TerraMapシリーズ」でエリアマーケティングに関するサービスを一括提供しているのが特徴。イベントやセミナーも行っています。
社名 | マップマーケティング株式会社 |
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本社所在地 | 東京都渋谷区笹塚1-64-8Daiwa笹塚ビル7F |
公式HP | https://www.mapmarketing.co.jp/company.html |
ソフトバンクが提供する人流データ「全国うごき統計」は、携帯電話基地局を活用した人流把握システム。行動解析に留まらない、4つのサービスを展開しています。
社名 | ソフトバンク株式会社 |
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本社所在地 | 東京都港区海岸1-7-1 |
公式HP | https://www.softbank.jp/biz/services/analytics/ugoki/ |
unerryの人流データの特徴は、膨大な人流ビッグデータをAI解析し、リアルな行動データを可視化、分析することで多彩なアウトプットを可能としています。
社名 | 株式会社unerry |
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本社所在地 | 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15F |
公式HP | https://www.unerry.co.jp/ |
人流データ分析サービスを選ぶ際に、押さえておきたい活用のための基礎知識を解説しています。
人流データを活用することで、さまざまな恩恵があります。
代表的なメリットは以下の3つです。
上記のようなさまざまなメリットがあり、人流データの活用は近年注目を集めています。
他のメリットについてもこちらのページでご紹介しています。
人流データの種類は大きく下記の4種類があります。
それぞれのデータは計測できる数字や情報が異なるため正しく理解をして、必要な情報を取得できるようにいたしましょう。
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